文豪たちが愛した常磐館。「海辺の文学記念館」となるも美しさは変わらない。

蒲郡は海の眺めが非常に良いことで知られています。鉄道唱歌の30番にはこうあります。

豊橋おりて乗る汽車は これぞ豊川稲荷道 東海道にてすぐれたる 海の眺めは蒲郡

今でも東海道線から見える海は非常に美しいものです。そんな蒲郡には「竹島」という島がありますが、その手前の竹島海岸沿いに「海辺の文学記念館」という建物があります。ここが非常に心安らぐ場所だったのでご紹介します。

この美しい佇まい。あ、右上にいるのは鷹ですね。竹島海岸は非常に多くの猛禽類が飛んでおり、この辺りに巣でも構えているのかと思うほど。

館内に入りますと、手前の洋館風の部屋では文豪たちに関する資料や展示があります。正直、基礎知識・予備知識がないと楽しめないかもしれませんが、聞いたことのある人物がいると「面白い」と感じられると思います。
本題はその奥。

和室が設けられているんです。

海を望む廊下です。ガラスがやや汚れているのと、あまりカーテンを開けないようにという注意書きがありますが、これだけでも雰囲気は十分。

公式サイトにあるように窓を開けて海を楽しむことはできませんが、心落ち着くひとときを過ごすことができます。

300円を払うと、抹茶とお菓子を頂くことができます。和室から海を臨み、抹茶を頂くという素敵な時間。

ちなみに、和室で抹茶を飲んでいても他の見学者が和室に入ってくると、「何やってるんだ…?」という目で見られることがありますのでご注意ください(笑)

そもそも「常磐館」ってなに?

海辺の文学記念館の元となった「常磐館」とは一体なんでしょうか?蒲郡市の公式HPにはこうあります。

明治末期に、名古屋の実業家・滝信四郎氏により竹島海岸に建てられた料理旅館「常磐館」からの眺めは格別なもので、大正・昭和期にわたり多くの文人たちに愛されました。 大正11年、菊池寛の作品「火華」にはじめて常磐館が取り上げられた後、志賀直哉、谷崎潤一郎、山本有三、川端康成、井上靖など文人たちにより、常磐館そして蒲郡の海や竹島の素朴な美しさが作品の中に描写されました。以来、「蒲郡の常磐館」は、全国にその名をとどろかせました。
 しかしながら、名声を高めた常磐館は、建物の老朽化と世相の移り変わりに対応できなくなり、惜しまれつつも廃業となって、昭和57年に取り壊しとなりました。

http://www.city.gamagori.lg.jp/unit/kankoshoko/bungakukan.html

元は料理旅館だったんですね。なお、当時の常磐館の外観を見たい方はGoogle画像検索でどうぞ。

今の建物は再現建築なの?

取り壊されたのが1982年、そして今の記念館がオープンしたのが1997年です。てっきり当時の様子を再現して建築したものだと思っていました。しかし、実際には蒲郡市内の病院を再現保全したものです。

大正・昭和期の蒲郡に馴染んできた歴史的建造物、「岡本医院」の建物を模倣復元したもの。
市街地にあった明治末期建築の開業医宅を、海岸沿いの観光地に場所を移して模倣復元。文学関係の記念館(市施設)に転用した。

財団法人 水と緑の惑星保全機構 http://www.mizumidori.jp/minka/055.htm

実際に使用された部材はごく少数だったようですが、外観については極力当時を再現して建築されています。

建具等は再使用されているそうなので、館内に展示されているものもそうかもしれませんね。ちゃんと案内文読んでおくべきでした…

まとめ もう一回行きたい

これだけの歴史的価値のある建物、抹茶とお菓子、海の見える和室が揃ってたったの300円で楽しめるのは素晴らしいと思います。時間がなかったため敷地内全てを回ることはできませんでした。建物の裏側にある庭も散策にピッタリ。午後になると、建物と表の芝生を順光で撮影できますので参考に。

この日だけかもしれませんが、竹島海岸沿いは非常に鷹や鷲が多く飛んでいます。地面に降り立ったり、低空を飛んだりしていますので、十分ご注意ください。